幼児期の教育とは

幼稚園は、単に「歌」や「おゆうぎ」、「折り紙」など教えるところではありません。また、子どもたちを日中預かって、単に遊ばせておくだけところでもありません。それでは学校教育法に位置づけられた教育機関としては失格です。

「歌」、「製作」、「遊び」等、これらはとても重要な活動ですが、ここで大切なことは、こうした活動を通して、子どもたち一人ひとりに、人としての基礎(土台部分)となる力をどう形成していくか、という視点を保育者がもつことです。私たちは豊かな活動を準備する中で、子どもたちにどんな力をつけたいのか、という願い・思いをもった保育を大切にしています。

本園で大切にしていること

幼児期は、生涯にわたる人間形成の基礎を培う大切な時期です。

幼稚園で見たこと、聞いたこと、感じたこと、体験したこと、そして出会った人、これらすべてが、子どもたちが意識するしないにかかわらず、子どもたちの人格のもっとも深いところで、長い人生をしっかりささえてくれる大きな力になると確信しています。

子どもたちの豊かな未来を見通しながら、ひとりひとりの個性が輝き、人生の主人公となる土台づくりを支援することが、私たち幼児教育に携わる者の大切な役割だと考えています。

3歳という年齢は、子どもたちにとってどんな意味をもつのでしょうか。2歳の誕生日とは異なり、3歳になると、大きくなった自分を両親からお祝いされることで、“大きくなった”という事実を、実感を持って受け止める力がついてきます。3歳児クラスへの入園に伴う生活の変化は、子どもたちにとって大きくなった自分を再確認できる大事な機会です。これまでとは違った水準で「自分」をとらえることのできる力は、友だちとの関係を通して、さらにはっきりとしてきます。あれだけ求めていた母親との密着した関係から徐々に離れ、「親には見えない世界」を友だちと作り出すようになります。母親との間で培った乳児期の愛着関係を支えてして、子どもの世界は大きく広がっていきます。

子どもたちの思いに寄り添いながら、子どもたちの世界の拡がりを見守っていきたい。そんな願いをもって、私たち、まつもと幼稚園の教職員は幼児教育に取り組んできました。人を育てるという仕事は、私たちの文化と科学の基礎を伝え、未来にはばたく個性の芽を育むことだと考えています。日々子どもたちとともに歩める感動ととともに、その責任の重さに身の引き締まる思いでいます。保護者ともに子どもたちの発達を見つめ、子どもたちの夢と希望を育んでいきたいと思っています。

一人ひとりを見つめる保育の展開

まつもと幼稚園は、さいたま市南区西部、荒川近くの自然豊かな地域に設立されました。近隣には、さくら草自生地として国の天然記念物に指定されている秋ヶ瀬公園、彩湖公園、道満グリーンパークがあり、こうした自然を生かして園外保育、自然学習に取り組んでいます。

卒園生は2000名を超え、個性豊かに成長しています。少人数クラス編成のもとで、一人ひとりの個性とニーズに応じた教育をめざしています。

ぶつかり合いから学ぶ

まつもと幼稚園では、子どもたちが自分たちの興味に基づいてさまざまな遊びを展開します。その過程で、子ども同士の思いの「ぶつかりあい」が生じます。幼稚園は子どもたちにとって、母親から離れた初めての集団生活の場です。自分の思い通りにならない場面で、「友だちをたたく子」、「じっとがまんする子」、「先生に助けを求める子」、「ただ泣く子」等、いろいろな子どもがいます。これはその子がもって生まれた気質要因と生後数年間の成長過程で身につけた対人関係の処理様式の違いによるものです。ぶつかる経験を通して仲間を知り、自分に気づくのです。

でも、このままでは困ります。こうした他児とのぶつかりあいは、人としての対人関係の調整を学ぶ大事な場面です。この力が育つのは3歳からです。3歳からの発達にはどうしても集団が必要です。3歳から入園できるようにしているのはこのためです。この集団にも発達段階に応じた適切な大きさがあります。私たちは3歳児では15~20名程度が適正規模だと考えています。5歳児クラスになると、「自らトラブルの仲裁をかってでる子」、「ルールを決めようとする子」もでてきます。子ども同士のトラブルを通して、対人関係の調整力と自我が育っていくのです。本園は、小規模園としての少人数保育の利点を最大限に生かした保育実践を通して、一人ひとりの個性の土台づくりを支援していきます。

◇発達が気になる子どもたち-インクルーシブ保育の推進-

平成19年4月から学校教育では特別支援教育が本格的に実施され、発達障害のある子どもたちが通常学級で学ぶための仕組みが整備されつつあります。政府の障害者白書でも、これからは障害のある子を排除しない「インクルーシブ(包み込む)」教育が目標と述べられています。

本園では、特別支援教育コーディネーターを指名し、幼稚園での障害のある子どもを含め特別な配慮を必要とする子どもたちの教育を推進しています。そのために2名の専門相談員を配置し、発達支援相談室も整備しています。障害の有無にかかわらず子育ては難しいものです。発達上の問題に限らず、保護者の子育てに関する悩み、発達上の不安等の相談に応えてまいります。

本来子どもたちは、障害のあるなしにかかわらず、地域の幼稚園で共に育ち、共に学びあうことが大切だと、私たちは考えています。特別支援教育とは「人間を大切にする教育」です。本園では特別支援教育コーディネーターを中心に外部の療育機関や大学等と連携しながら障害のある幼児の保育を積極的に推進し、その発達を支援する取り組みを通して「共生社会の実現」に向けて努力しています。就学前に友だちとの関係づくりを促し、就学に向けて自立した学校生活ができるよう、一人ひとりの発達と障害特性に応じて、合理的配慮のもとで適切な指導・支援を行います。